Mesa Verde National Park(メサ・ベルデ国立公園)は、「国立公園」の中で唯一原住民の遺跡をテーマとした「国立公園」である。メサ・ベルデには、最大規模のアナサジ族の断崖住居が残されており、アナサジ族の居住センターの一つであった。
メサ・ベルデは、スペイン語で緑のテーブルを意味するが、この地方に
アナサジ族が住み始めたのは550年頃であった。狩猟中心の生活から農業を中心とした定住生活へと移行する時期で、竪穴式住居を備え、バスケット制作に加えて土器制作を始め、弓矢を使用するようになったのもこの時期からである。750年頃には、柱と泥で作った壁を擁する住居を建設するようになり、1000年頃にはさらに進化した石レンガ造りの
プエブロ住居を建設するようになった。この頃には土器も黒の幾何学模様の華やかな土器に変わっていった。この頃には農業の重要性はさらに増してくる。1100年頃から1300年頃は、この地域が最も栄えた時期で、数千人の人口を擁し、建築物も内壁を絵で飾ったり、見張り塔のような高い建築物を建設する技術を身につけたりしている。メサ・ベルデを有名にしている断崖住居は、1200年頃に建てられたもので、なぜ断崖の窪地に主たる住居を移したかについては、他の部族との紛争説などがあるが、定かではない。ここのアナサジ族も1300年頃までには、この地を放棄して姿を消している。旱魃に伴う不作、土壌の栽培力の喪失など諸説が唱えられているが、これも定かではない。
US160号線から公園内への道は、典型的な山道で、有名な断崖住居まではこれが21マイル(34km)も続く。公園は大きく分けて、Chapin Mesa(チャピン・メサ)とWetherill Mesa(ウェザリル・メサ)の2つの地区に分かれる。人気があるのはチャピン・メサの方だ。チャピン・メサには、Spruce Tree House(スプルース・トゥリー・ハウス:トウヒの家)、Cliff Palace(クリフ・パレス:断崖宮殿)、Balcony House(バルコニー・ハウス)の3つの大きな断崖住居跡がある。このうちスプルース・トゥリー・ハウスは夏の期間自分でアクセスが可能だが、それ以外の場所に行くにはレンジャー・ツアーをとる必要がある。バルコニー・ハウスへのツアーは長いはしごを上ったり下りたりする必要があり、なかなかチャレンジングなようだ。
スプルース・トゥリー・ハウス
断崖宮殿
バルコニー・ハウス
またこの地区にはCeder Tree House(杉の家)、Far View House(ファー・ビュー・ハウス)などのメサの上に建てられた住居跡の他、竪穴式住居の跡も保存されている。
竪穴式住居跡
この他にも、
Oak Tree House(樫の木の家)、
House of Many Windows(多くの窓のある家)、Square Tower House(スクウェアー・タワー・ハウス)、
New Fire House(新消防署)といった遺跡も見ることができる。さらにはChapin Mesa Archeological Museum(チャピン・メサ考古学博物館)にはアナサジ族の残した品々が展示されている。
スクウェアー・タワー・ハウス
ウェザリル・メサは、チャピン・メサの西に位置し、ビジターセンターから曲がりくねった道を経た先に位置する。Step House(ステップ・ハウス)、Long House(ロング・ハウス)と呼ばれる大きな断崖住居の遺跡が残されている。このうちロング・ハウスに行くにはレンジャー・ツアーをとる必要がある。この他、メサの上に築かれた住居跡などが残されている。ウェザリル・メサでの移動には、国立公園局のトラムに乗り換える必要がある。
ステップ・ハウス
ロング・ハウス
いずれの地区のレンジャー・ツアーもビジターセンターでチケットを購入する必要があることに注意しよう。
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)