氷河に鋭く削られた切り立った山々の峰と深く切り込まれた峡谷が広がるスイスのアルプスを思わせる風景。North Cascades National Park(ノース・カスケーズ国立公園)は、登山家、ロッククライマー、ハイカーのパラダイスと言えよう。氷河に削られた山々は、男性的で、荒々しく、人間のアクセスを拒むように尖がっている。
太古に太平洋で形成された地層が北アメリカ大陸と衝突し、持ち上がるとともに、南北に折りたたまれ、断層を形成した。その後に、
カスケード連峰を形成するプレートの衝突が起き、この古い断層を下から持ち上げた。その際に海に近い部分は、マグマを形成し、火山活動を生じさせ、その他の部分は、変成作用を受け、次第に上昇し、現在のノース・カスケーズの山々のもとを築いた。それを氷河が磨きをかけ、現在のように鋭い峰に削り上げていった。公園内の氷河は318を数え、アラスカを除く全米の氷河のうち半数以上がここノース・カスケーズに集中している。雪解け水を押し流す数多くの滝(cascade)が存在し、この公園の名前の由来となっている。
ノース・カスケーズ国立公園は、Skagit River(スキャギット川)により南北のユニットに分かれており、公園の南側のユニットにそびえるノース・カスケーズの最高峰Goode Mountain(グード山)は9,206フィート (2,806m) あるのに対して、スキャギット峡谷は低いところでは400フィート (122m)しかなく、この高低差が多くの登山家、ロッククライマー、ハイカーを魅了して止まない。 アラスカ以外で氷河のトレックをこれだけ経験できる場所は、他にはない。
ノース・カスケーズ国立公園への道路によるアクセスは、南側のユニットに限られる。スキャギット峡谷を東西に走るNorth Cascades Highway(ノース・カスケーズ・ハイウェイ)からCascade River(カスケード川)に沿って南へ分かれる舗装されていないCascade River Road(カスケード・リバー・ロード)をたどっていくと、Cascade Pass(カスケード峠)の手前まで連れて行ってくれる。カスケード・リバー・ロードの終点から見るカスケードの山々は、荒削りの美しさをたたえている。
北側のユニットへのアクセスは、トレールに限られるため、バックパッカー向け。野生動物も豊富で、鹿のほか、私たちは途中へびを飲み込もうとしているフクロウにも出会った。
カスケーズの山中に入ると、山々は静まり返り、何の音もしない世界を味わうことができる。音のしない静けさに出会うと、耳がおかしくなったように感じるが、暫くすると僅かな風の音さえ聞こえるようになる。砂利を踏みしめる足音が鋭敏に聞こえる。普段いかに雑音に囲まれた生活をし、それに慣れてしまっているかがわかる。都会の雑音に疲れた人は、ノース・カスケーズに行ってみよう。そこには、氷河と山と静けさが待っています。
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)
ノース・カスケーズのきれいな写真は、
ここで見ることができます。