フロリダ随一の大都市マイアミから南に15マイル(24km)ほど離れたところにカリブ海を思わせる青い海と青い空が広がっている。そこはBiscayne National Park(ビスケイン国立公園)。ビスケインが占める17万エーカー(700平方キロ)の面積の96%が遠浅の透き通った海という珍しい国立公園である。沖合いに浮かぶElliott Key(エリオット・キー)を始めとする小さな島々は、フロリダ・キーの北端に当たり、ここから南はさんご礁で造られた島々がフロリダ半島を回りながら150マイル(240km)にわたりキーウェストまで続いていくことになる。
ヨーロッパ人が訪れるまでは、この辺りにはTequesta(テクエスタ)族が住み、木をくり抜いたカヌーでコンク貝などの海からとれる豊かな幸を採取し、暮らしていた。しかし、1513年にポンセ・デ・レオンが現れて以降は、彼らが持ち込んだ水疱瘡などの病気により、多くの原住民が犠牲となり、18世紀半ばまでにはほぼ壊滅状態となったという。また、この頃には、この近辺は海賊の根城となっていた。さんご礁が形作る浅瀬の海は、航海の難所ともなり、ビスケインで難破した船はいくつもあり、現在もその跡が残る19世紀から20世紀にかけての5つの難破船を結ぶ海中トレールが整備されており、ダイバーたちの人気のスポットとなっている。
さんご礁に育まれた浅瀬の海には、陸からも栄養分豊かな淡水が流れ込み、色鮮やかな250種類以上の亜熱帯の魚や海洋生物が住み、海底にはさんご礁や
Turtlegrass(タートル・グラス)などの海草の草原が広がり、豊かな生態系を形成している。海岸にはマングローブの森が広がり、ブラウンペリカンなどの水鳥が空を舞う。水平線を眺めると、白い雲が遠くに見えるものほど低くなり、やがては水平線と一体となっている。
マングローブ
歴史もさることながら、ここではこの青い海と青い空を楽しむに限る。Convoy Point(コンボイ・ポイント)ビジターセンターの近くからシュノーケリング・ツーアーやボート・ツアーが出ている。1日に1回しか出ないので、チャンスを逃さないようにしよう。ボート・ツアーは、底がガラス張りになった船で行われる。このため、船上からの景色と海底の景色を同時に楽しむことができるため、泳げない人でもビスケインの海を楽しむことができる。ビスケイン湾には多くのイルカも住み、ツアーボートを追いかけて来ることもあるという。
マイアミから少し足を伸ばせば届くさんご礁の海。どこで空と海がぶつかるのか探してみよう。
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)
ビスケインのきれいな写真は、
ここで見ることができます。