ミズーリー州の南東部に位置するOzark National Scenic Riverways(オザーク国立景観河川)は、Current River(カレント川)とその支流であるJacks Fork River(ジャックス・フォーク川)の2つの河川、あわせて134マイル(214km)を保護する国立公園ユニットである。オザークの宝石と呼ばれるオザーク台地の豊かな湧き水がこの川を育み、人々に憩いの場所を提供している。
通常河川は、一年を通じて、季節の移り変わり、天候の変化によりその水量が大きく変わるが、このオザーク台地を流れる河川の水は、湧き水によってもたらされており、このため、安定した水量の透明度の高い水が供給されている。このため、カヌーを楽しむには最適の川となっている。川の周辺には多くのレンタル・カヌー屋があるので、手軽に借りて楽しむことができる。
カレント川
ジャックス・フォーク川
オザーク台地は、いわゆるカルスト地形で、白雲岸、砂岩、石灰岩など溶解性の高い岩石ででき上がっている。湧き水で支えられたこれらの河川が大地を削り、切り立った断崖、洞穴などを造形している。湧き水は石灰岩を通して地上に上がってくるため、途中で石灰石が地下水に溶け、湧き水の多くは絵の具を混ぜたような青い色をしている。また地下水は、オザーク台地の下に長い年月をかけて数多くの洞窟を形成している。洞窟は、オザーク国立景観河川の敷地内だけでも300余りを数えるという。Round Spring Cave(ラウンド・スプリング洞窟)は夏の間ツアーで見学することができる。Devil’s Well(悪魔の井戸)と呼ばれる池は、かつての地底湖を含む洞窟の屋根が陥没してできたものである。
Jam Up Cave(ジャム・アップ洞窟)はジャックス・フォーク川からしかアクセスができない。
ラウンド・スプリング洞窟
悪魔の井戸
この地域は、世界でも有数の湧き水集中地帯で、1日の水量が6、500万ガロン(25万キロリットル)を超える第1級の湧き水が5つを数える。カルストの大地に染み込んだ水がやがて柔らかい石を溶かして地下河川を作り、それが地表に湧出してきたものだ。Big Spring(ビッグ・スプリング)はミズーリー州最大の泉で毎日100万kl以上の水が湧き出ている。その様はまさに岩から水がほとばしる感じだ。
ビッグ・スプリング
この他にも、鮮やかな水色の湖面が美しいAlley Spring(アレイ・スプリング)、どの泉より深い青を湛えるBlue Spring(ブルー・スプリング)、1932年から州立公園として保護されてきたRound Spring(ラウンド・スプリング)、かつての療養所の廃墟のほとりに位置するWelch Spring(ウェルチ・スプリング)などの湧き水が大小100箇所近くあるという。
アレイ・スプリング
ブルー・スプリング
ラウンド・スプリング
ウェルチ・スプリング
これらの湧き水は水車を回すエネルギー源として最適であったため、湧き水の近くには多くのMill(ミル)が建てられたが、中でもアレイ・スプリングの湧き水を利用したAlley Mill(アレイ・ミル)は、1894年に建てられた製粉所で、赤い色の製粉所は格好の構図を提供している。
アレイ・ミル
なお、湧き水は、石灰石が多く含まれているので、飲用には適さないのでご注意を。
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)