コロラド州の片田舎Florissant(フローリサント)は、草原と森が広がり、季節になると野生の花が開く。フローリサントとは、フランス語で「花の咲く」を意味し、その言葉どおりの小さな静かな町。しかし、ここには3,500万年前の生態系がすっぽりと眠っている。
3,500万年前は、現在もその一部に当たる新世紀で、恐竜に変わり、哺乳類が生物の主役として躍り出た時代である。この地方には、15マイル(24km)にわたるLake Florissant(フローリサント湖)が水を湛え、豊かなシダや茂みを従えたレッドウッド、スギ、松、カエデ、ヒッコリー、樫などの木の森に囲まれていた。温暖で湿潤な気候は、多くの昆虫類、鳥類、哺乳類などを育んだ。しかし、この緑豊かな風景は、近隣の火山活動で一変してしまう。降り注ぐ火山灰、軽石は、昆虫類、魚類、植物、鳥類、哺乳類など付近の生態系を飲み込み、湖の底へと押し流していった。火山活動は断続的に70万年間続き、その度に付近の生態系は、湖底に火山灰、軽石などとともに折り重なっていき、化石となった。
Florissant Fissil Beds National Monument(フローリサント化石層国定公園)からは、
植物、
昆虫類、
軟体動物、
魚類、
鳥類、
哺乳類など、様々な化石6万体が発掘されている。その一部をビジターセンターで見学することができる。
植物の化石で圧巻なのは、化石化した
セコイアや
レッドウッドの切り株だ。公園内のビジターセンターの近くとPetrified Forest Loop(化石の森ループ)に保存されている。トレールで見ることができる通称"Big Stump"(大きな切り株)は、周囲が38 フィート(11m)にも達する巨大なレッドウッドの化石だ。
ビジターセンター近くの切り株の化石
Big Stump
また、Ponderosa Loop(ポンデローサ・ループ)を歩くと、切り株の化石からポンデローサ松が生えている、いわば何千万年もの時を超えた新旧交代のシーンを見ることができる。
ここからは、
Mesohippus、
Hyracodon、
Oreodonなどの哺乳類の化石が発掘されている。恐竜絶滅後、人間が生まれる以前に、これらの動物が地球の主役だった時代があったということに思いをはせると不思議な感じがする。ここを訪れると3,500万年前の世界に思いをはせることができます。
また、公園内には1878年に建てられた開拓者の家(The Hornbek Homestead:ホーンベック農場)が残されている。
ホーンベック農場
フローリサント化石層国定公園は、松やポプラの林と草原が広がる風景の中、その名前のフローリサント(花の咲く)の名前のとおり、小さな野生の花があちこちに咲いている。園内にはいくつかトレールが整備されており、美しい景色の中、トレールを歩くだけでも爽快な気分になれる。
Twin Rock(Twin Rock Trail)
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)