アメリカのよいところは、どのような大都会にも近郊に緑あふれる自然が残されており、そこでハイキング、キャンプ、バイク、カヤック、カヌーなど、自然と一体となったスポーツや活動を楽しめる点にあると
以前書いたが、ロサンゼルスの郊外には、Santa Monica Mountains National Recreation Area(サンタモニカ山地国立レクリエーション地域)が広がっており、全米有数の大都市ロサンゼルスからの手軽なグレート・エスケープの地となっている。総面積が153,075エーカー(619平方キロ)もあり、大都市近郊の公園としては全米最大のものである。
サンタモニカ山地は、南北に走る峰が多いアメリカの山々の中で、珍しく東西に走っている山地である。カリフォルニアの地形は、プレートの衝突によって形成されていることが多いが、ここも例外ではなく、太平洋プレートと北アメリカプレートの押し合いの結果、しゅう曲による造山運動が生じ、冬場の雨が浸食作用をもたらし、今日のサンタモニカ山地を形成している。
サンタモニカ山地
サンタモニカ周辺の気候は、世界でも5地域でしか見られないと言われる地中海性気候である。このため夏は暑く乾燥し、冬は温暖だが降水量の多い気候となっている。この気候はサンタモニカの風景にも影響を与え、この一帯には地中海風の風景が広がっている。一方で南カリフォルニアは全米でも有数の人口密集地であるため、サンタモニカ山地国立レクリエーション地域の設定は、デリケートなバランスの上に成り立っている地中海性気候に育まれた生態系を保護する意味もある。
この公園の楽しみ方は、山と海に分かれる。公園の敷地はかつて牧場に使用されていた場所が多く、これらの場所ではなだらかな丘や草原の近くに小川が流れるのどかな風景が広がり、手軽にハイキングやマウンテンバイクを楽しむことができる場所となっており、数多くのトレールが整備されている。また、海岸線は、切り立った崖とビーチが交互に連なり、風景もビーチも楽しめるようになっている。
Arroyo Sequit(アロヨ・シクィット)は、緑の草原に小川が流れ、春には野草が咲き乱れる美しいトレールである。公園の北側にあるかつては牧場であった
Cheeseboro Canyon(チーズボロ峡谷)や
Palo Comado Canyon(パロ・コマド峡谷)、園内で最も高い山
Sandstone Peak(サンドストーン・ピーク)(3,111フィート:948m)へのアクセス・ルートのあるCircle X Ranch(サークルX牧場)、サンタモニカ山地の真っ只中のZuma Canyon(ズマ峡谷)などは人気のハイキング・スポットとなっている。
ズマ峡谷
公園の中央部にあるParamount Ranch(パラマウント牧場)はパラマウント映画の撮影場があった場所である。かつてNHKで放送されていた「ドクタークイン:大西部の女医物語」はここで撮影された。
パラマウント牧場
サンタモニカはアメリカ有数のビーチの場所で知られ、海岸線に数多くのビーチが点在する。こここではイメージどおりのカリフォルニアのビーチを体験することができるだろう。中でも有名なのは、海岸線の東端にある、フォーレスト・ガンプやタイタニックなど数多くの映画の撮影のシーンにも登場するSanata Monica Beach(サンタモニカ・ビーチ)であろう。
サンタモニカ・ビーチ
猿の惑星の撮影で知られる
Point Dume State Preserve(デューム岬州立保護区)は、ビーチとともにデューム岬登りに人気がある。野鳥好きの人にはMalibu Lagoon(マリブ干潟)で渡り鳥の姿を見ることができ、
マリブ・ビーチも人気の場所である。アメリカの子供たちに大人気のTVハンナ・モンタナはマリブが舞台となっている。毎年国際ライフガード大会の行われる
Zuma Beach(ズマ・ビーチ)など、美しいビーチが数多くある。これらのビーチは、ハリウッドに近いため多くの映画の撮影現場となっており、ここに立てば映画の主人公になったような気分がするだろう。
マリブ干潟
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)