シェナンドア国立公園の真ん中を縦走するスカイライン・ドライブを南に下るとその終点から、
グレート・スモーキー・マウンテン国立公園の入口まで、アパラチア山脈の中心をなす
Blue Ridge Mountains(ブルー・リッジ山脈)をパークウェイが貫いている。このパークウェイは、ブルー・リッジ・パークウェイと呼ばれ、全長469マイル(755km)の長大なパークウェイである。ほぼ東京=広島間の距離に相当する。うち217マイル(349km)がヴァージニア州で、252マイル(405km)がノースカロライナ州にある。
このパークウェイは、フランクリン・ルーズベルト政権の時代に、ニューディール政策の一環の公共事業として開始されたプロジェクトで、1935年9月より工事が始まり、完成までに実に52年を要し、1987年に最後の工事が完了した。ルートにはノースカロライナを通る案とテネシーを通る案の2案があったが、ノースカロライナ・ルートの方が国有林を通るため、景観上優れているなどの判断から、ノースカロライナ・ルートが採択された。1936年には議会により、正式にブルー・リッジ・パークウェイ計画として位置づけられ、国立公園局の管理の下に置かれた。実際の工事に当たっては、受注者は地域の失業者を雇って工事を行ったほか、工事区間の一部は失業家族の若者を植林や工事に雇用するCivilian Conservation Corps(市民環境保全部隊)が工事を行った。パークウェイの設計は、景観設計技師Stanley Abbott(スタンレー・アボット)が行った。
ブルー・リッジ・パークウェイは、まさにブルー・リッジ山脈の背骨を縦断する道路であるため、その緑濃き深い山々を楽しみながらドライブすることができる。最高速度は原則45マイル(72km)に制限されており、緩やかな曲線を描きながら、ゆったりと進むことができる。パークウェイの沿道には、200を超える展望地点が用意されており、自分の気に入ったところで、止まって、山の姿を愛でることができる。100以上のトレールが用意されており、ドライブと同時に、ハイキングも楽しめる作りとなっている。Ravens Roost(レイベンズ・ルースト)(10.7マイル)、
Peaks of Otter(オッター山)(86マイル)、
Smart View(スマート・ビュー)(154.5マイル)、
Rocky Knob(ロッキーの丘)(169マイル)、
Jumpinoff Rocks(ジャンプオフ岩)(260.6マイル)、
Chestoas View(チェストア・ビュー)(320.7マイル)、
Craggy Garden(クラギー・ガーデン)(364.1)、Lookinglass Rock(鏡岩)(416マイル)、
Waterrock Knob(ウォーターロックの丘)(451.2マイル)など、様々な角度からブルー・リッジ山脈を楽しむことができる。
レイベンズ・ルースト
鏡岩
また、Fallingwater Cascades(フォーリングウォーター・カスケーズ)(83.1マイル)、Linville Falls(リンビル滝)(316.4マイル)、
Glassmine Falls(グラスマイン滝)(361.2マイル)など12の滝にも沿道のトレールから鑑賞することができる。
フォーリングウォーター・カスケーズ
リンビル滝
また、沿道には、
Mountain Farm(マウンテン農場)(5.8マイル)、
The Trail Cabin (トレール小屋) (154.6マイル)、Mabry Mill(マブリー・ミル)(187.6マイル)、
Puckett Cabin (パケット小屋) (189.9マイル)、
Brinegar Cabin (ブリネガー小屋)(238.5マイル) 、
Caudill Cabin (コーディル小屋)(241マイル)、Sheets Cabin(シーツ小屋)(252.4マイル)など、多くの19世紀の開拓者の村の跡が残っている。
マブリー・ミル
シーツ小屋
多くの展望地点やトレールなどをかかえるため、パークウェイというよりは、ブルー・リッジ山脈国立レクリエーション地域と言った方がよいかもしれない。全部を通ると1日あっても完走するのは難しいだろう。好きな箇所を選んで走ってみるのをお勧めする。ピクニック日和には爽快なドライブとなることだろう。
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)