ペンシルベニア州とニューヨーク州/ニュージャージー州の境を流れるデラウェア川は、アメリカ東部で珍しいダムのない川である。デラウェア川の上流部73.4マイル(117km)は、Upper Delaware Scenic and Recreation River(アッパー・デラウェア景観レクリエーション河川)に指定され、そのすぐ脇を並行して走るニューヨーク97号線はライダーに人気のツーリングコースとなっており、デラウェア川上流の見事な景観を楽しむことができる。
デラウェア川上流は、クラスIからII程度の急流を含み、カヤック、チュービング、ラフティング、フィッシングなどを楽しむことができる。沿岸部には、私営のキャンプ場が設置されており、夏にはキャンプとあわせてチュービングを楽しむ子供たちで人気の場所となる。夏の終わりには、うなぎを捕るための「やな」がしかけられるので、川下りの際には注意が必要である。デラウェア川上流はボールドイーグルの貴重な生息地ともなっており、イーグル・ウォッチングに訪れる人も多い。
デラウェア川上流の南部には、Roebling's Delaware Aqueduct(ローブリングのデラウェア用水路)と呼ばれる吊り橋がある。この橋は、アメリカ最古の吊り橋で、1848年にDelaware & Hudson Canal(デラウェア=ハドソン運河)の一部として建設されたものである。デラウェア=ハドソン運河は、ペンシルベニア州北東部の無煙炭をニューヨークなどに運搬するために建設された運河である。デラウェア=ハドソン運河のルートは、途中デラウェア川を横断する箇所があり、デラウェア川で造船のため下流に流される材木の交通とクロスしてしまうため、ボトルネックとなっていた。このボトルネックを解消するために建設されたのがデラウェア川の上にかかる用水路である。1898年にデラウェア=ハドソン運河が操業を停止した後は、橋として使用された。設計者の
John Roebling(ジョン・ローブリング)は、後にニューヨークのブルックリン橋の設計者として歴史に名を残すこととなる。
ローブリングのデラウェア用水路
また、そのすぐ上流には、第2次世界大戦前に活躍した西部劇作家
Zane Grey(ゼイン・グレー)の
邸宅が博物館として公開されている。彼の残した作品は、映画やTVシリーズとして好評を博した。
紅葉の時期にニューヨーク97号線を走るだけでも、デラウェア川が色とりどりの絵の具を塗られたような両サイドの山の間を縫って流れぬける景色を満喫することができる。景色のよい場所では所々駐車できるスペースが設けられているので、車を停めて景色を吸い込もう。
(国立公園局のHP)
(国立公園局の地図)(PDF)